杉の坊のつぶやき

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ガン研究の最先端

※内容はあくまでも個人の見解です。

 

2月9日、京都大学iPS細胞研究所の研究グループが、

ヒトの人口多能性幹細胞(iPS細胞)から、

癌細胞を間接的に攻撃する機能を持つ免疫細胞を

作成することに成功したと発表しました。

免疫細胞の大量作成が可能になり、がん患者への有効な免疫療法や、

治療薬開発への応用が期待できるということです。

 

作成されたのは「iNKT細胞」で、研究グループは

健常者の血液から取り出したiNKT細胞でiPS細胞を作成し、

特定のタンパク質を加えて分化させることに成功したとのことです。

 

他の免疫細胞を活性化させて間接的に癌細胞を死滅させる従来の機能に加え、

直接癌細胞を攻撃する機能も確認されたようです。

iPS細胞から免疫細胞を作り出した例は、他にもキラーT細胞など数例ありますが、

いずれも臨床試験には至っていません。

がん患者はiNKT細胞の数や機能が低下することが知られており、

研究グループは今後、様々な種類のガン治療薬の開発に発展する可能性があるとして、生体内での安全性確認などを進める予定です。

 

こういった研究がすすむことはガンに悩ませられる現代にはまさに朗報ともいえますが、この研究が実際に我々の身近に体験できる日が来ることにつながるかには、まだまだたくさんの壁が残っています。

 

どのような研究結果も、初期の報告は非常に期待が持てるものが多いのですが、

その後の研究や実際に現場に活用される話が聞けるケースは殆どありません。

日本の医療システムや、過去の記事でも指摘しているとおり、製薬関連での産業としての色が強い現状では、実際にこの報告にあるほどの効果が現れることで都合が悪い場合が多すぎることもあります。要するに、容易にガンが治ってもらっては困る業界もあり、一方では保険会社のようにできるだけ簡単に治ってもらいたい業界もあるのです。

 

また、この研究は免疫細胞の研究になるのですが、「iPS細胞」というのは細胞を培養する技術で、今回のケースはiPS細胞技術を用いて特定の免疫細胞を培養することに成功したという例です。

免疫細胞というのは自己の正常細胞を攻撃しないことを前提に個人個人が持ち合わせているものなので、特定の被験者の特定の免疫細胞を大量培養したとしても、別の患者にその免疫細胞が適合するかといった点では問題が残ります。がん治療に効果があったとしても、培養した免疫細胞を使用した弊害で被験者が膠原病やアレルギーを発症してしまう可能性も否定できません。個人の免疫細胞の異常が原因で起こる症状の代表が花粉症やアレルギーで、それぞれがそれぞれの生活習慣などに応じて体内状況なども変化しますので、結果的に100人十色の免疫細胞を持ち合わせていると考えれば、今回の培養成功に関しても多くの課題が残ることになります。

 

当然今後の研究でその点についての調整なども行っていくのでしょうが、最終的に非常に高額な治療法になってしまってはやはり残念な結果となってしまいます。

現在の情報だけを見ている限りでは研究期間も掛かっておらず、従来の抗癌剤に比べても安価で供給施行できそうなのですが、厚生労働省をはじめ製薬会社や関係各機関が現状の利益関係を見直してまで導入に協力するかという点では正直言って無理だと感じています。

 

研究自体は本当にすばらしいものですが、やはり最後は「お金」の問題として扱われることに、いつもやり場の無い怒りを感じざるをえません。。。

 

研究グループは私などが考えることよりもはるかに先を見据えて、これからどんどんとすばらしい結果につなげてくれることと思います。

こういった事をしっかりと形にすることはまた別の社会が関係してくるので、今回の研究もせっかくの光明ですので、どうせなら社会のガンも治せる特効薬もいつか開発してほしいですね。。。

 

杉本