杉の坊のつぶやき

実は知らない健康や医療に関する情報を発信

どう考えるか…

※内容はあくまでも個人の主観です。

ここ数回は、医療と薬の現状を通じて
裏側が透けて見えることを意識しました。

今回は最近起こった実際の問題を取り上げてみます。

実は先日、あまり大きいニュースにはなっていないようですが
岡山大学でとある事件?がおこっています。

岡山大学の公式ホームページに掲載された一部を抜粋すると、
「平成25年12月10日及び平成26年3月26日岡山大学学長に対して
合計31本の論文について、流用、捏造及び改ざんした疑いのあるデータが
用いられている、または重複投稿が行われているとの告発があった。
これを受け、本学において行った調査結果の概要を公表する。」
との内容でそれほど長くはない調査報告が載せられています。

しかし、この調査報告について様々な不審点が指摘されました。
その部分についての岡山大学側の明確な説明や報告は行われていません。

岡山大学は、研究不正を内部告発した森山教授らに対し
懲戒処分を前提として2015年5月26日から職員就業規則第68条の2規定に基づき
懲戒処分決定までの自宅待機を命じていました。
しかし、この懲戒処分となる嫌疑は不明であり、自宅待機が続いていました。
そうした中、岡山大学教育研究評議会の人事審査によって
「懲戒解雇」ではなく国立大学法人岡山職員人事規定第10条に基づく「通常解雇」
の手続きによって、2015年10月26日に職員就業規則第23条第1項第6号を根拠として
解雇するとの審査結果が出され通知されました。

これに対して森山教授らは、岡山地裁に対して2015年12月7日解雇停止仮処分を申し立て。
自宅待機命令は「懲戒解雇」を前提としないと命令できないものであり、途中からの
「通常解雇」は無効になります。また、岡山大学の解雇処分手続きにはこういった不可解な経緯があり、この件自体が森山教授らが複数の博士論文と多数の学術論文に不正疑惑があるとして内部告発したことに端を発しています。

岡山大学は告発された31本の学術論文に対して研究不正調査の結果すべてシロ判定をしています。
しかし一方で、情報公開請求によって入手された調査報告書を調べると、
その判定には重大な疑念があることが判明、特に本調査されたとされる論文1、論文30に対するシロ判定は大いに疑問であるという声があがっています。さらに、論文9について指摘された疑義とは別の部分において画像合成の疑いがあることが判明。
調査委員会で十分な審議がなされていたのか、画像解析業者の選定と支払った料金が適正であったかを知るために、情報公開請求で非開示決定された「調査委員会の議事録」「解析業者に支払った金額」について開示するように、関係者が異議申し立てを行っているようです。

主なポイントとしては、
●予備調査委員会では3回、本調査委員会(研究活動調査委員会)はたった2回しか開催されていなかった。予備調査委員会の議事録は、調査対象論文が31本もあるのに議事録が第1回2ページ、第2回4ページ、第3回5ページ分しかなく、一つ一つの論文に対して十分審議され適切な議論がなされたのか疑わしい。また、特に不正の有無について細部にわたり丁寧に慎重な審議を要する本調査委員会(研究活動調査委員会)では、論文5本が審査されたが、第1回の議事録しかなく、しかも3ページ分しかない。

●公開された本調査の対象となった5つの論文だけでもすべてに大学理事や副理事が共著者として含まれており、調査委員会の審理が適正になされたかどうか、審理・検討した内容を公開しなければ、調査委員会の審理に逆に不信感を抱かせるものである。

●画像解析を委託した解析業者には「高度な専門技術」と「高い機密の保持」が要求されるため「多くの業者を対象とする通常の手続きはふさわしくない」という理由をつけて最初から1社に候補を絞って通常の手続きを経ずに決定されている。しかしながらこの業者が「高度な専門技術を有している」と指摘する根拠は一切明示されていない。特に、当該業社は論文30の画像解析でバックグラウンドの不連続が鮮明に検出されているにも関わらず「不自然な結果を導き出せない」との判断を示しており、高度な専門技術を有するという評価に大いに疑問を抱かせるものである。

●本調査された論文1では、解析業社による解析の途中で対象画像の一部を論文に掲載されたものとは全く異なる画像に差し替えてシロ判定しており、これは明らかにおかしい。

といった点が指摘されています。


この問題の重要な点は、学術論文の不正はもとより、
もしも研究不正を隠蔽するために内部告発した教授らを無理やり解雇しようとしているならば、労働問題以上の大問題となります。

仮に不正の告発が間違っていたとしても、内部告発者を解雇するといった処分は不当です。
このまま今回の森山教授らが解雇されてしまえば、それが見せしめとなってしまい、将来的に報復を恐れて不正の告発をしようとする人を萎縮させることにもつながります。


毎日新聞の記事でもこの件に触れていますので引用します。
以下記事引用
●岡山大(森田潔学長)の大学病院幹部が著者に含まれる医学論文について、研究不正の告発を受けて調査した学内の調査委員会が、実験画像の切り張りを確認したものの、本来必要な生データとの照合をしないまま「不正なし」と結論付けていたことがわかった。調査報告書は文部科学省や告発者に提出されたが、切り張りや生データについての記載はなく、別の論文でも実験条件を示した画像説明に食い違いがあったのに問題視しなかった。
同大医歯薬学総合研究科の教授2人が複数の論文について告発し、調査委が昨年3月に結論を出した。研究不正についての国のガイドラインは、不正なしと判断された場合は公表しないと定め、大学も公表しなかった。

切り張りがあったのは、2006年に米国の内分泌学専門誌に掲載されたステロイドホルモンに関する論文。濃さが異なる横長の棒(バンド)が横に12個並び、実験条件を変えると特定のたんぱく質の量が変化することを示した。バンドの長さを読み取ったグラフが下にあり、濃さを比較して結論を導くデータの一つとしている。告発は「同一条件で比較すべきデータが合成されている」と指摘した。

大学によると、病院幹部から「1枚の連続的な写真ではない。代表的なバンドの写真を参考として添付した」と説明があったが、切り張り前の生データは「8年以上経過し残っていない」として提出されなかった。

切り張りは、別の画像の使用や画像処理が判明した場合、捏造(ねつぞう)や改ざんにあたる。
元は連続した写真であると生データで確認できれば、不正とはならない。

岡山大学は「学外の委員も加え、きちんと検証した」と説明し、切り張りの事実や生データなどについて報告書で触れていないことについては「早く報告する必要があり、報告書を簡潔にしようともしたため、言葉たらずな点があったかもしれない」としている。

一方、画像説明の食い違いは、08年に循環器関連の米医学誌で発表した論文と、10年に岡山医学会雑誌で発表した日本語の論文との間で生じている。高血圧に関係するたんぱく質の研究で、それぞれ複数の細胞の画像が示され、同一の画像の実験条件の説明が両論文で
「Na+/K+ATPase」と「H+−ATPase」となり食い違う。

調査委員長を務めた同大学の山本進一理事は「国のガイドラインや大学の規定で定める研究不正(捏造、改ざん、盗用)には当たらない。だから本調査はしなかった」と説明している。

病院幹部は取材に「日本語の論文は岡山医学会賞の受賞紹介記事。掲載にあたり、一部のパネル(画像)を削除し、説明文を修正する際に誤りが生じた」と回答した。


以上が毎日新聞の記事です。

この件について一部一般の反応では、

岡山大学の件は本当に恐ろしい件。学部内選挙で圧倒的多数で当選した
  学部長と副学部長レベルの人達が不正を告発したせいでクビに。
  通常の教育、研究業務に戻ってもらって互いに証拠の提出で決着をつけるのが
  フェアなやり方だと思う。

●研究不正告発は誤っていても懲戒処分や解雇されることではない。
  デタラメな調査で黒を白、停職9ヶ月、長期の自宅待機命令、さらに解雇。
  研究機関は無法地帯でやりたい放題である事を明確に示してしまった。

●大学や研究所に独裁的なトップがいると、岡山大学のようにとんでもない
  事態を招くというよくわかる実例。優秀な研究者は次々にでていくだろう。

岡山大学。Aが不正をした。Bが内部告発した。BがクビAがお咎めなしと理解している。


こういった意見もあり、全般的な見方としては
内部の不正の指摘に対して明確かつ適正な説明と証明を行わないにもかかわらず
不正を指摘したものを解雇相当と判断することは解雇権の濫用に当たるとの指摘です。

私自身もこの件に関して思うところは
この問題が一般的な不正とは異なって医学的な学術論文であることがとても深刻で、
結果的には医学の見地においての影響力があるという点です。

単純な不正問題ではなく、論文に不正がある状態でまかり通ってしまったならば
その内容をもとにした治療や薬品につながってくる可能性だってあるわけです。
今回のステロイドホルモンによるたんぱく質の反応を応用して
次の段階に進むことになるのですから、この反応結果自体が嘘であれば
この次の研究結果すべてが辻褄が合わなくなってくるわけですし、
もしもこの反応を応用した治療や薬ができてしまえば、そこに伴うデータや
臨床を含めたすべてがデタラメだということにもなりえるばかりか、
最悪のケースでは不正に隠されてしまった重篤なマイナス反応までもが
被験者に対して降りかかる可能性だってあり得るわけです。

ですから、医学的な分野での不正問題については非常に深刻なのですが、
実際には信じられないほど当たり前のように横行している…と個人的に言ってみます。

ですので、今回のことも実は表に少しでも出てきただけマシである、
結果的には当事者しか分かり得ない状況のままうやむやになるであろうと
残念な感情に包まれています。

みなさんはどのようにお考えになりますか…?

杉本