杉の坊のつぶやき

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殺菌・抗菌の危険性

※あくまでも個人主観です。

 
除菌、抗菌が異常なレベルで蔓延しています。
 
食品衛生における部分での雑菌や細菌に対する取り組みは重要ですが、
日常生活においての身近な部分までも過敏になるのはとても危険です。
 
人間の免疫機能は、この殺菌除菌と密接な関係があります。
 
このブログでも何度か書いていますが、
人間の身体には自己を防衛するための『免疫機能』があります。
同時に、人間の体には学習機能が備えられています。
 
何から身体を守る(防衛)のか?
当たり前ですが身体に害をなす外敵、
ウイルスや抗原、感染症や食中毒を起こすような
身体に悪影響を及ぼす病原菌などです。
 
免疫機能が自分の身体に害をなすかどうかを判断し
必要に応じて攻撃、排除してくれるのです。
この免疫機能における敵味方の判断に異常が発生し、
自己の細胞や、自分自身の身体、味方を攻撃するのが
免疫不全、自己免疫疾患と呼ばれ「膠原病」に分類される難病です。
 
免疫機能は、当たり前のことですが人間の体が形成される過程で
母親の胎内にいる段階から作られますが、
この時点では殆どと言っていいほど免疫機能と呼べる能力がありません。
赤ん坊が蜂蜜の摂取を控える理由など、
免疫機能が安定していないと言われるのは
生まれた段階で基本としてもっている免疫機能は
生まれたての赤ん坊同様、学習段階であるからです。
 
ある程度準備している免疫機能というのは
母体を情報源として、体外の環境についての情報を得た中でのもので、
母体の生活環境が赤ん坊に提供する情報です。
 
赤ん坊が言葉を話すようになったり、物を見分けたりできるようになるにも
経験による成長が必要で、そこには学習という人間の機能が働いています。
当然ながら自己免疫機能も独自できちんと学習するのです。 
 
赤ん坊がすぐに口に物を入れたり、
幼少期になんでもかんでも舌で舐め回すような行動も
実は人間の本能としての学習行動で、
様々な情報を収集して免疫機能を成長させているのです。
 
幼児がそういった本能行動をとることに対し、
すぐに『汚い!』といって抑止することも
学習と成長においてとても良いコミュニケーションです。
 
しかし、残念なことに最近は、身の回り全ての抗菌と除菌が過剰に浸透し、
はじめから学習する機会もマイナスの情報も全て遮断します。
抗菌抗菌、除菌除菌と強迫観念に駆られたかのように 
家の中にさえいれば菌とは限りなく無縁の環境を求める人が増えています。
 
雑菌全てが悪者といった思い込みが蔓延しているのが現状で、
『菌』といえばとても汚いものだとむやみやたらに認識しています。
 
テレビCMではお風呂の雑菌、布団の雑菌、などなど、
とても汚い、そこいらじゅうを虫が這っているかのようなイメージとともに
抗菌や除菌グッズを勧めています。
 
きちんと理解していただきたいのは、はじめにもうしあげたとおり、
調理に関わる食品衛生に関わる殺菌や防菌作業と
日常生活上の除菌、抗菌は全くの別物だということです。
 
食品衛生での調理師や食品従事者の殺菌、除菌、抗菌への取り組みは、 
食べ物という、直接口に入る食品を第三者に提供する立場からの責任として 
感染症や食中毒に関連する菌が発生、付着等することを防ぐために行うもので、 
なんでもかんでも除菌抗菌しているものではありません。
 
 
そもそも、本来の人間の免疫機能をしっかりと向上させることができれば
少々の菌には負けませんし相手にもなりません。
自分の身体で跳ね返すことができるので、気にする必要もありません。
自分自身が自分自身に、菌に対するバリアを張れるのとおなじことで、
免疫機能が正常にかつ強力に成長していれば、
それだけ強いバリアが張れるわけです。
抵抗力という言葉を聞いたことがあると思いますがまさに抵抗するための自分の力です。 
 
また、免疫機能は学習能力が高く、一度侵入してきたものが外敵であった場合には
次回からは侵入を防ぐ能力まで備えてくれます。
攻撃したり防衛する能力の強さも外敵に合わせどんどん変化させることができます。
 
食中毒などに対してもおなじで、食べ物やそれらに付随する菌に対しての抵抗力も
免疫機能をはじめ自身の抵抗力として備えるか備えないかで大きく違ってきます。
 
極端な例かもしれませんが、
海外旅行に行くと、日本で生活している人は食あたりや食中毒にみまわれるケースが多く、
この現象を顕著に表す例として、
中国からの留学生にとても多いのですが、日本の大学に留学してくる中国人学生が、
数年日本で生活して久しぶりに自国に帰った際に 
実家の母親の料理を食べただけで食中毒症状をおこして救急車で運ばれる。。。
といったケースがあります。
 
留学前には全く平気で毎日あたりまえに食べていた家庭料理のはずが
留学中の環境変化で体質が変わってしまい、
免疫機能が日本の環境に適応して事実上退化してしまったため
従来は自分の身体で対応できていたはずのものに対応できなくなり、
簡単に身体がやられてしまうケースです。
 
今の日本では、おそらくこの話を聞いた人の多くが
『それほど中国の衛生管理に問題があるんだ』
と、短絡的に考えてしまいますが違うと私は思います。
 
人間の身体の本来の機能を考えるならば、
少々のことでは外敵にやられない身体を作り上げているのと、
自分では防げないので排除することに力を注ぐのでは
どちらが正しいのでしょうか?
 
地球上には、現代の科学では解明できていないことが未だ非常に多く、
人間の身体もまだまだ解明されていません。
地球上だけでも新しく発見される動植物がある段階なのに、 
ほとんどが未知の宇宙空間から、太陽光などに乗って飛来する細菌類もあるなか、
新しい病原菌も発生しますし、既存の菌も人間の対抗策に対して年々進化、変化しています。
人間は、自分たちの能力を捨て、文明に頼り、科学を過信し、
邪魔なものは排除する方向というのが、我々の生活にとって正しいとは、
私は一切思いません。
 
 
話を進める前に前提として注意しておきますが、
先ほど挙げた中国の問題は、昨今叫ばれている公害や環境汚染の問題ではなく
食べ物として摂取した際や身近な生活においての基本的な問題提起です。
 
農薬問題や有害成分問題、公害問題や環境汚染は、薬と同じ分野の問題で、
的要因による人災であって食生活や人体の成り立ち問題ではありません。  
 
話を戻すと、
自分で自分の体が守れるようになっているのとそうでないのとでは、
どのように物事が違ってくるかということなのです。
 
現代の過敏な抗菌除菌がこのまま進み続け、幼少期から環境として育ってしまえば、
外出時には宇宙服のような服を着なければ外気に耐えられなくなります。
家の中が無菌室のような状態があたりまえになれば、
外に出ることすら出来ないような体になってしまうのです。
 
批判されるかもしれませんがあえて書きます。
除菌や抗菌を崇拝している人たちは、無菌室の中で生活することを望み 
完全なる防護服をファッションとすることを望んでいるのでしょうか?
限りなくそれに近い感覚でいる方を見かけることも増えてきましたし、
やはりテレビを見ていれば、そうなってしまうのにもうなずけます。
 
しかし、地球上のみならず自然界は菌で成り立っていっているといってもいいぐらい
様々な細菌の働きでその恩恵にもあずかっているはずです。
微生物や菌、現代の人が嫌う昆虫にも、人間が生活する上で必要不可欠な役割があります。
 
また、自然界の生き物は細菌も同じく、環境に順応し変化、進化しています。
毎年インフルエンザのウイルスや風邪が流行った際、テレビを見ていればいつも言っていますが、
『ウイルスが変化して従来の薬や抗生剤が効かなくなっている』
というフレーズを聞くことが多いと思います。
 
菌は自分たちを守るために薬に対する耐性を持つのです。順応進化です。 
人間を含む動植物も同じ能力を持っています。
人間にも同じように体内の機能など、環境に適応していく力があるのですが、
今、人間はその能力を捨て、除菌剤、抗菌加工、薬に頼ろうとしています。
 
繰り返しになりますが、外に出れば空気中にもごまんと細菌がいます。
人間の体もたくさんの細菌によって守られている要素もあります。
 
汚れるから汚い汚いとばかり言うのではなく、
たとえ汚されようとしても、少々では汚されない身体づくりが必要なのです。
 
身の回りを除菌すれば、たしかにその時は綺麗になったとしても
小さな子供には確実に学習する機会を失わせることになります。
まさに『過ぎたるは及ばざるが如し』の通りで、
除菌抗菌が行きすぎれば最低限の抵抗力すらも失います。
 
これは余談ですが、細菌の研究に携わった事のある方ならよくご存知で、
市販の除菌グッズ、スプレーなどにはイメージほど効果はありません。
グッズには実はある一定の条件下での使用が前提で、
気軽に使っても思い描いているような効果はほとんどないのが現状です。
アルコール消毒も、アルコール濃度が適切でないといけませんし
しっかり乾燥させないといけなかったりと手順、条件があります。
また、アルコール濃度が80%を越えると、細菌は自己防衛でバリアを張って冬眠のような状態になりますので結果的に殺菌にはつながりません。
 
ips細胞などの研究にも関わっていたという、
某大学の細菌研究に携わる研究員のはなしですが、
細菌を殺すなら湿度をあげて地面に落として踏み殺すのが最も良いそうです(笑)
 
結局のところ、やはりこれも残念ながら除菌産業に振り回されているような状況なのです。
 
消費者が自らの身体をどんどん弱めてゆく事で必要な分野も派生してゆきます。
 
除菌抗菌にあまり効果がないことで危惧する部分が杞憂で終われば良いのですが、
残念ながら販売される商品、食材は確実にその影響で中身がなくなっています。
確実に身の回りから他愛もない菌は減っていっているのでしょうが、
その反面より強力に進化した菌が生まれているのも現実です。
 
食べることで学習する部分、触れることで学ぶ部分を削って、
対応する能力は低下させながらその対策法で相手を強力にしてしまう。。。
その結果で起こった弊害を薬で治そうとするのは本当に愚かなことです。
 
ジャングルジムで怪我をしたらジャングルジムを撤去するのと同じ発想ですね。
ジャングルジムを使い遊ぶことが身体能力の向上だという遊具なのに、
本来の目的をも忘れて、ただの遊び道具としかとらえていません。
 
怪我をする可能性から身を守る能力を高めるために使用するのではなく、
怪我をするからはじめから使用させない。
 
自分の身体を丈夫にするという本当の意味は、自分で病気と戦える強い身体に成長させることです。
病気に負けない体を欲するにもかかわらず、その意思とは真逆の行動をしています。
 
なんでもかんでも汚い汚いと言っている方は考えて欲しいのですが、
自分には絶対に欠かせないものには、どうすることもできないものがあるはずです。
誰が吐いたかわからない、呼吸をするための空気はいいんですか?
誰が触ったかわからないお金はいいんですか?
 
何度も書きますが、
汚いところに放り込まれても汚されない身体こそが本当の清潔であって、
ちょっとしたことで簡単に汚染され汚れるような身体こそが、
何にやられているかもわからないような汚い身体です。
 
気づいてください。
車でも食器でも調理器具だってそうです。
汚れないためのコーティングはその物自体に施し、外から汚されるのを防ぐでしょう?
 
少々の汚れた?環境でも汚されない能力を体そのものに備えるんです。
人間はどうですか?
菌を嫌うあまり、逃げ回っていては
簡単に病気にやられ、菌があったらダメな身体にしてしまいます。
 
自分自身が菌なんて寄せ付けない身体になればいいはず
その能力を人間はちゃんと持っているんです。
自分自身が抗菌できるんです。
 
何故、最高の抗菌能力を自ら進んで捨てるのでしょう?
本当に不思議でなりません。
 
 
杉本