杉の坊のつぶやき

実は知らない健康や医療に関する専門的な情報をお届けできるよう頑張ります!個人のつぶやきもあります

ガンと新薬

※内容はあくまでも個人の主観です。

 

間違っていたらすみません。

 

今年に入って注目されているガン治療薬「オプジーボ」。

別名をニボルマブという、抗PD−1抗体製剤で、

対象となるガンの部位を含めて幅が広がっています。

 

ただ、注目の点はその効果よりも値段の高さで、

これについては前記事、前々記事を参照してください。

 

このオプジーボについで認可された抗PD−1抗体製剤が

ペムブロリズマブ(キイトルーダ)です。

 

認可の時点では根治切除不能な悪性黒色腫に対しての適応です。

 

しかしながら、情報だけを一部抜粋すると、

 国内臨床試験では、副作用が81.0%認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用はそう痒感・斑状丘疹状皮疹(各14.3%)、倦怠感(11.9%)などであり、重大な副作用は間質性肺疾患、大腸炎、重度の下痢、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、類天疱瘡、神経障害、肝機能障害、肝炎、甲状腺機能障害、下垂体機能障害、1型糖尿病、腎障害、膵炎、筋炎、横紋筋融解症、重症筋無力症、脳炎、髄膜炎Infusion reactionが報告されている。中でも、劇症1型糖尿病は類薬ニボルマブで発症報告があり、既に注意喚起が行われていることから、本薬使用においても同様な注意喚起がなされている。

とあります。

 

副作用が81%って。。。どんなもんでしょう?

 

抗がん作用のある、いわゆる「抗がん剤」では

表現はおかしいかもしれませんが

副作用が効果を超えることは当たり前です。

だからとはいえ従来とは働きの違う製剤でも

これほどの副作用を有します。

 

なぜそんなに副作用が強いのか?

といった質問を医師に投げかけても

「ガンはそれほど強い厄介なものなので、それほどに強い薬が必要」

などといった的外れもいいところの説明をする場合もありますが、

そもそも副作用と薬の強さは関係ありません。

副作用は副作用であって本作用は本作用なのです。

少し難しい解釈が必要になりますが、

副作用もその薬が持つ立派な働きなのです。

 

過去の記事でも紹介しましたが、

一つの薬に対して都合の悪い働きや作用を副作用と呼び、

目的とする作用を効果効能としているだけなのです。

 

効き目が強いから副作用が強いのではなく、

薬そのものの効果がそういったものであるわけです。

 

ですから「強い薬なので副作用も強くなる」というのは

表現そのものがおかしいのです。

「その薬はもともとがそういった薬」なのです。

 

過去の記事と重複しますが、

従来の抗がん剤の発想は

ガンを毛虫、人を木に例えるとわかりやすいかもしれません。

 

例えばですが、

 

木に毛虫がついて増殖すると枯れるかもしれないので毛虫を駆除したい

とりあえずどんな毛虫か調査する

ちょっとやそっとの薬では死なない毛虫であることがわかる

毛虫は確実に殺せるが木も高い確率で枯れるかもしれない薬

または

毛虫に効くかは五分五分だが木は確実に強いダメージを受ける薬

を使わざるを得ない、それしか方法がないので使う

(どちらにしても木は枯れかねない)

結果

1、毛虫は全滅したが木も枯れた

2、毛虫は減ったが木が耐えきれず枯れかねないので中止

3、毛虫はビクともせず木は枯れた

4、毛虫は全滅したが木には深刻なダメージが残った

5、毛虫が目の届くところにいなくなった

 

おおざっぱにはこんな感じです。

 

これを部位、早期発見の単位で考えた場合

木の枝で考えるとこんな感じになります。

 

一つの枝にわずかだが毛虫が発生した

放っておくと増殖する可能性があるので駆除したい

毛虫ごと枝を切り落としてしまおう→「後日別の枝に発見」に移動

または

さっさと一網打尽にしたいのでそれなりの薬を使おう

それなりでは効かないので薬を強くしていく

数が減ったので継続

発見した枝に毛虫がいなくなった

駆除が成功した(治療が良かった)

後日別の枝に毛虫を発見(転移)

最初の

「放っておくと増殖する可能性があるので駆除したい」

に移動

以下ループ。

 

 このような具合になります。

 

この例えでは人を木にガンを毛虫にしていますが、

例えとはいえども実際の状況でも

人と同じように木にも毛虫から身を守る能力があります。

また共存する能力もあります。

毛虫から身を守る能力は人間で言うところの

自己免疫機能、

です。

 

共存する能力というのは

木に毛虫がついていてもその毛虫が木に害なのか

そうでないのかは毛虫によって違います。

ガンも同じで、

ガンとは呼ばれるものの、種類や状況によっては

触らないほうが平和に共存できる場合があるのです。

 

新薬であるペムブロリズマブ(キイトルーダ)は

「免疫チェックポイント阻害薬」

という分類の製薬で、

これまでには有名なオプジーボ(ニボルマブ)、

イピリムマブ(ヤーボイ)

が同系の製薬として用いられています。

 

「免疫チェックポイント阻害薬」の働きを

先ほどの木に例えた場合は、

 

木に害のある毛虫が発生した

木が本来持っている自分の能力で

毛虫を駆除するための物質(A)を出す

毛虫がその物質(A)の働きを妨害する物質(B)を出すため

駆除するための物質(A)がうまく働かなくなる

そこで「免疫チェックポイント阻害薬」を使用すると

毛虫の発する(B)の働きを阻害し、

(A)の働きを邪魔しないようにすることができる。

 

というものです。

わかりにくかったらすみません。

 

要は、

自分の免疫機能が正常に働くようにするものです。

 この場合の免疫機能というのはT−細胞のことを指します。

 

脱線しましたが

自己機能が正常に働くようにする薬だと

認識していただければ一番しっくりくると感じています。

 

ここまでで勘のいい人は気付くと思いますが

自己機能がどれほど優秀であるかという点です。

 

阻害を阻害しなければいけないほどの能力というか

それほどの力が元々体には備わっているのだということです。

 

新薬の方向も大きく変化してきてはいますが

副作用の問題はつきまとってしまうのは

悲しいことですね。

 

より一層の進歩を期待したいです。

 

杉本

(続)治療とお金

※内容はあくまでも個人の主観です。

 

前回の記事でご紹介させていただきました「オプジーボ」ことニボルマブ

 

厚生労働省の発表で、

医療費を“救済的に”半額にするといった報道がありました。

 

措置についてはあくまでも救済的なものであることを強調していますが

一時的にすぎないことはいうまでもありませんし

過去の状況から考えると、患者数が激増した時点で

国庫負担の困窮を理由とした段階的な値上げも予想されます。

 

結果的には前回の記事でもご紹介した通り

開発費用などの原価については絶対に償却しなければいけませんし

国庫負担では絶対に賄えなくなることも予想済みですので

現状としては目先をごまかすだけの対策になるのではないかと

私個人としてはかんがえています。

 

簡単に考えると、

開発費用は最終的に誰が負担するのか?

どういった面で回収を行うのか?

この点で考えれば、

税制と同じく、負担を先延ばしにしているにすぎず、

最終的には儲けも含めた回収に踏み切ると思われます。

 

足りないし、破綻しますよと言われれば

問答無用で値上げを飲まざるを得なくなりますし、

結局のところ税金よろしく決められれば従うしかありませんので

どちらにしてもいずれは払わされます。

 

ただ、

「払わされる」といった表現は適切ではないかもしれません。

実際には開発に関わって莫大な費用もかかっていますし

労力として従事した人の苦労もそこにはあります。

ですから、

単純に値段が安くなれば良いとはいっても

必ず誰かが負担しなくてはいけなくなります。

 

私個人としては、

国の運営で賄って行くべき問題であるのではないかと考えますが

現在の運営思想では、実際問題非常に難しいと言えます。

 

ここからはかなり大きな話になってしまうので切り上げますが、

医療費といった枠組みの中で考えると、

他の医薬品全般を平均的に値上げするか、

診療時の医療費負担のパーセンテージを引き上げるかの

いずれかになるのではないかと思われます。

 

どちらにしても平均的に患者負担額が引き上げられるわけですが、

ひとつだけ問題があるのは

もともと不透明である医療負担の中身に対して、

そういった措置が実際にはどのように流用されるのか

本当に平均負担として分け合うことができるのか

といった点が指摘できます。

 

一般的な理解としては、

医療に関わるすべての費用を100として、

何割を患者、何割を国庫がになって分け合うのか

というものだと思っているでしょうが、

実際には徴収されて振り分けられる医療費から

100支払われた上に患者負担が乗っかっているのが現状です。

 

もっとわかりやすくします。

普段税金として徴収されている税収から

医療費として予算が振り分けられます。

その予算に対して100%国の負担だと足りないので、

実際にかかった何割かを患者に負担してほしいというのが

病院などにかかった際に支払うお金になるわけです。

 

ただ、すべてとはいいませんが

この負担以外の金額は病院などに診療報酬として支払われます。

また、診療点数といったシステムをベースに

診療側、病院側が医療点数を申請して請求するのですが

このシステムは携帯電話のプランなみに複雑で難解で、

実際にいくらの薬をいくらで販売して、

診察代はいくらで人件費などの経費の逆算など

一般的に商店や企業が行なっているようなことが

ほとんどわからない状態であると言えます。

 

ほとんどわからないというのは

納税して保険を利用している利用者に対して

不透明であるという面です。

 

法的には情報開示請求などで見ることも可能なのでしょうが、

厳密には目的がただ見たいだけでは難しい事です。

 

例えに挙げた携帯電話の料金プランを、

請求額と照らし合わせて細かく納得のいく説明のできる、

きちんとすり合わせの出来る人には、

キャリアの店員を含めても出会ったことがありません。

 

 説明を求めても、

「だいたいこんなもの」程度の説明はされても

なるほど!

と思ったことは一度もありません。

 

これは私にとって税制や診療報酬制度についても同じで、

どこか釈然としない漠然とた内容の説明しか受けることができないのです。

 

 今回の値下げに至った経緯には様々な要因があり、

患者負担の軽減を第一のように謳っていますが

実際には諸外国と比べて価格の割合が非常に高いことから

批判が殺到していた点が挙げられます。

 

英国に比べると約5倍、米国ですら約2.5倍と、

日本の薬の薬の価格は非常に高くなっています。

 

日本の政治観点から医薬品業界は経済成長戦略の柱にあるため

薬価改定は段階的に行う中で結果的には予算変動のない状況を

作り出したいところなのですが、

ことオプジーボに関しては、皮膚ガンでの承認をきっかけに

患者数の多い肺がんへの使用に至ったため

患者数の増加とともに価格面での不満が多くなったことも

価格見直しの原因の一つと言えます。

 

厚生労働省は従来25%までの値下げの方針でしたが、

そもそもの価格が高すぎるために今回の判断に

“仕方なく”踏み切った形です。

 

ここまでの構図を見ても

どこかしら違和感を感じざるを得ないのですが、

そもそも医薬品業界や医療業界を、

経済成長戦略の柱として認識しているところが

根本的に間違っていると思われるもので、

本来ならば生死や病などの人の体に関わる部分は

経済や商的な要素とは切り離して考えるべきなのです。

 

たしかに

前述したように開発などには費用が必要ですので

お金と切り離すことは無理なのかもしれません。

しかしながら、

政治的な視点では、儲けや運営、経済や景気、お金の事情とは

やはり完全に分けて考えていただきたいと思うのは

不自然なことなのでしょうか。。。

 

 

杉本

 

治療とお金

※内容はあくまでも個人の主観です。

 

先日、

過去の16/3/18の記事「高額治療」で紹介した “オプジーボ”(ニボルマブ

についてテレビでの特集がありました。

やはり高額になる薬品の金額について

今後どのように扱って行くのかについての話でしたが、

結局のところ厚生労働省と製薬会社の意見が平行線のままで

患者の実質負担が大きいままの状態となっています。

 

また、産経新聞の報道でも

現状の抗がん治療との併用によって

重篤な副作用があることが報告されたこともあり、

残念ながらなかなかに画期的な治療にはつながらないようです。

 

 

おさらいとして「オプジーボ」(ニボルマブ)が

どういった働きをする薬なのかですが、

人間の体の免疫機能の一つであるT細胞が、本来異物であるがん細胞を

異物として攻撃するのですが、がん細胞が作り出すPDーL1という物質が

T細胞の受容体であるPDー1と結合することで免疫機能が低下し

がん細胞を攻撃することができなくなってしまいます。

オプジーボ(抗PDー1抗体)はT細胞のPDー1受容体と結合して

がん細胞の作るPDーL1との結合を阻害し

T細胞ががん細胞を攻撃する力を守るという働きをするものです。

 

現在のところガン治療においては非常に有効であると言われていて

注目されてはいますが、前述したように重篤な副作用の問題があり、

特に薬剤性肺障害では死亡例の報告があります。

他にも現状で確認されている副作用は、疲労感、食欲不振など

一般的なものに加え、甲状腺異常や下垂体異常、

免疫の異常から発症すると思われる大腸炎、肝機能障害、腎機能障害、

皮膚炎などがあります。

 

メカニズムが非常に画期的であることと

従来の抗がん剤と比較しても有効率が段違いなのが

注目される理由ですが、

免疫系統に直接的に作用するため、副作用の方向性も

かなり危険が伴う可能性を孕んでいることから

取り扱いにはかなり神経質になっているようです。

 

もうひとつの問題点はやはり価格です。

過去の記事でも紹介しましたが、

年間では約3500万円、5%の自己負担に換算しても年間175万円前後必要です。

自己負担の%が変動する中で130万円~175万円を年間負担です。

 

現在、厚生労働省から製薬会社に対して価格の引き下げを打診していますが、

製薬会社には製薬会社の都合がありますので、そう簡単には下げれないようです。

 

基本的にあまり知られてはいませんが、

大まかですが、薬の値段を決めるには

・原材料費(有効成分、添加剤、容器・箱など)
・労務費(労働時間)
・製造経費
・製品製造(輸入)原価
・販売費・研究費等
・営業利益
・流通経費
・消費税

が、元となります。

 

詳しいものとしては「新医薬品の薬価算定方式」を見てください。

 

そもそもが小野薬品はオプシーボ研究開発に自社費用のほとんどを

つぎ込んでいるようなので、算定にあてはめるととんでもない数字になり、

さらには保険適用により何割かが国庫負担となるだけでも、

日本の財政が破綻するそうです。。。

 

基本的に薬品業界はそういった状況にあるため、

結局は「商売」の範疇を出ることができないので

良い意味での国を挙げてのボランティアにでもならない限りは

この問題は避けて通れそうにありません。

 

医療費として国民の生活を支える基本となるものに対して、

そもそもの仕組みや制度、捉え方自体がずれているのかもしれませんね。

 

国家としてその問題がクリアできるように

なんとか頑張って欲しいものです。

 

杉本